複数の金融機関から借り入れていると
不動産を購入する場合に、多くの方は住宅ローンを利用しますが、その際に複数の金融機関から借り入れを行う事はありません。
複数へ審査を申し込み、その中から条件の良い金融機関を選ぶ事はあるでしょうが、借りる際に複数から借り入れを受ける事は無いでしょう。
ところでなぜ大きな金額の借入が出来るのでしょうか?
借入れ人が長期間に渡って支払が出来る仕事、給与形態にあるかどうかももちろんですが、主な理由は購入する不動産を売却した場合に得られる金額に、ある程度の見通しがあるためです。
売れば貸したお金が回収できるから、返済が出来なくなったら売りますからね、という事が出来る権利を抵当権といい、返済に使用される財産を担保(この場合は不動産)と呼びます。そのため住宅ローンを借りる際には抵当権が付けられるのです。
因みに借りている金額より担保の価値が高ければ、更にお金を借りる事が出来ます。
子供の進学など、何らかの事情で借入の必要が出た場合、不動産の余剰価値を担保にする事で安い金利でローンが組めるケースもあり、その場合新たな借り入れに対する抵当権を付ける事になります。
借り入れの支払が滞ると、お金を貸している側は担保を売って貸し付けを回収しようとし、こうなってしまうと任意売却を検討していく事になっていくのですが、売却予定金額が借入額より低い場合に、複数の金融機関等がお金を貸していると話がややこしくなる可能性があります。
金融機関は貸付の際、担保の価値のほか、本人の支払能力も加味して貸し出しをしますので、担保を売却しても赤字になってしまう事がありえます。
この場合、先に抵当権を付けた者から優先的に担保の売却金額を受ける事になるのですが、売却金額によっては後から抵当権を付けた者が全く売却金を受け取れない事が有ります。
一つの担保に複数の抵当権が付いている場合、担保の売却には抵当権を付けている全員の承諾が必要なのですが、返ってこない側からするとこちらは貸したお金が一切返ってこないのに、と文句の一つも言いたくなるでしょう。
通常、貸しているのが金融機関の場合、経費などを支払う事を条件に担保の売却を交渉しますが、承諾を得られない場合、任意売却は出来ません。
また、借入金額が小さく返済が継続出来てしまっている抵当権先があったりすると、借入が代理弁済されておらず任意売却に移れないという事もあり得ますから注意が必要です。