線状降水帯の北上

お盆を境にして北海道の一部地域で豪雨が発生しています。
道北、道南エリアでは、24時間降水量で8月一か月分の雨量が観測される地域も出た他、
北海道では初の線状降水帯発生情報が出るか、という状況にもなりました。
他県に比べ都道府県として括られる範囲が広大な北海道ですので、
道内でも関係しないエリアもありますが、台風以外で多量の雨が降る事はこれまでにあまり経験がありません。
天気図を紐解き、梅雨前線が掛かっているような状況と表現される予報士さんもおり、
北海道で梅雨入りと言われるようになる日も近いのかもしれません。
北海道と言えば海産物や農産物などの産地で認知されていますが、
集中豪雨が度々発生するとなると、ここにも影響を及ぼしかねません。
エリアにもよりますが、山岳から海岸までの距離が長い北海道では、本州程の急流は多くありません。
なだらかな形状が多いため、土砂災害の危険が小さい代わりに川が氾濫すると水没地域が広くなります。
なだらかな形状が多いので農産物や酪農が盛んですが、水没が起これば農産物は大ダメージです。
酪農も、牛を高台に避難させれば良いという訳ではありません。
餌となる牧草地が水没すると、草が泥まみれになり、飼料として適さなくなります。
ひいては牛の体調不良から、商品品質の悪化に繋がります。
また多量の雨が川から海へ流れ込むと、沿岸では泥が広がります。
水中が見えなくなるので漁が出来ません。
雨で漁が出来ず、雨が上がっても漁が出来ずでは商売あがったりです。
適度な量や、回数であれば山からの栄養素の流入で資源環境を促進しますが、
多量となると赤潮の発生、泥濘滞留によって海中酸素濃度が減り、資源壊滅の恐れも出てきます。
加えて豪雨の一因とも言われている、近年の海水温上昇により、
急激な環境変化についていけずに資源枯渇と言う事にもなり兼ねません。
資源、特に海藻類の枯渇は海中酸素濃度の低下、二酸化炭素吸収の低下に繋がり、温暖化を加速させます。
気象の異常化が更に早まる可能性を孕んでいます。
起き始めてしまった事はどうにもなりません。
これから起こり得る可能性をシミュレートし、それを阻む対策や可能性を探っていく必要があるのではないでしょうか。