とうとうクマが人家や施設に躊躇なく入り込む事態になってきています。

死傷者も次々報告されており、自衛隊の出動や警察の発砲準備と、国家体制も現場に入ってくるようなりました。

2023年もエサ不足の影響で街中への出没が取りざたされていましたが、これほど毎日に渡って複数頭の目撃や襲来があると、

生活はもとより風光明媚な観光地の産業に大打撃です。

エサ不足の要因として、木の実の不作、昨年の豊作のための頭数増加などのまことしやかに流布されていますが、

最近ではエサを争う他の動物の存在もそこに加わってきているようです。

確かに北海道で言うと、エゾ鹿の増加はある程度の精度を以って報告されており、

多くなった鹿が樹木肌まで根こそぎ食べ、木が細り、枯れ実が付かない悪循環という理屈のようです。

鹿と比べ頭数把握の危険性が高い、熊の生息数については正確に計る事は困難でしょうから、

実際の所は分かりませんが納得はしやすい意見ではあると思います。

その昔、日本の野山にはオオカミがいました。

捕食動物としては鹿などの動物を一定数狩っていたためバランスは保たれていたのでしょう。

しかしながら家畜への危害、狂犬病の流行のためニホンオオカミは絶滅させられる事になりました。

反面、これまでの野山への入山や観光、酪農が安全に行われていたのはこの事があったからかもしれませんから、

人間としては充分に恩恵を受けたのかもしれません。

また野生生物の保護政策、マタギのような銃猟生活者の減少・高齢化、山林開発、気候変動を要因に、

一部の野生生物が増加し、市街地へ現れやすい環境を整ってしまった結果が今年のような状況を生んだと考えると、

人類に対する自然からのお仕置きが、この様な面からも行われていると言う事なのかもしれません。

現在の状況は、食物の育成をコントロールできない野生生物界において、

命を繋ぐ事への危機が発生しているというシグナルと捉えられないでしょうか？

既にその兆候は世界中で出てきていますが、人類が食物の育成をコントロールできない状況になった時、

将来の人類の姿が、今のクマ被害を投影したものになっていなければ良いのですが。