読めない動き
多種多様な値上げのトンネルから抜け出せない昨今ですが、最近ではコーヒーの値上がりが顕著なようです。
コンビニなどの店頭品も数十円、インスタントコーヒーでは倍前後、
豆の仕入れでは3倍程ともなっているようです。
私はコーヒーが飲めない類の人間なので、個人的にはこの事であまり影響はありませんが、
巨大分野を築く商品ですから、その影響は多大である事は分かります。
ここ数年で大きく取り上げられたコメや卵、キャベツと違いコーヒーは輸入品ですので、
折からの円安によって20~30%が上乗せされてしまうのは分かりますが、
それをも上回る急激な値上がりの背景と言えば、やはり天候不順による収穫量の減少でしょう。
今年はサンマが豊漁との事で、たくさん召し上がった方もいらっしゃるかと思われますが、
その要因として挙げられているのが数年続いた黒潮大蛇行の終了です。
ここ十年弱に渡り黒潮の流れが変化しており、サンマの不漁も時期をリンクしている事から、
この説が有力であるとみられています。
この様に、これまでおよそ似通った動きを取っていた気候現象が、
変化をする事で海洋産業で言えば漁獲量が、地上で言えば農作物の収穫に多大な影響が出ます。
その地上で大きな影響をもたらしている現象が、偏西風の蛇行です。
これまで偏西風はある程度直線的に流れていました。
これが2010年頃から蛇行するようになってきているそうです。
偏西風の大きな役割は、気温の区切り目となっているという所にあります。
以北は寒く、以南は暖かい環境を作り出しているため、
直線的に流れている場合には、寒暖のエリアが分かりやすくなっていました。
これが蛇行しだすと、今まで暖かかったエリアに寒気が、寒かったエリアに暖気が入るようになります。
暑くても涼が取れたり、寒くても暖が取れるような知識、行動が取れるなら多少の期間は凌げますが、
野生動物や特に植物はそうはいきません。
これまで生育していた環境が変わってしまと、収穫の再現が出来なくなります。
それが今、世界中で起こっています。
偏西風の蛇行は極圏の気温状況の影響もあるため、今のところ回帰の兆候は見られないようです。
気温や環境の変化に強い農作物の開発が望まれますが、一朝一夕では無いでしょうから、
近い将来、食環境の大きな転換を余儀なくされる可能性も充分考えられるのではないでしょうか。
